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  ■「総合とインターネット」(8)  2002.10執筆

 前回は、外国の小学生との共同学習「英語でのホームページ作り」について紹介しました。このプロジェクトは、4年前と3年前に「 バーチャルクラスルーム・コンテスト 」という世界中の児童生徒を対象とした国際的な共同Web制作コンテストに参加したときのものでした。異なる国の3校で構成された各チームは、インターネット技術を用いてそれぞれ選んだテーマについてのWeb作品を制作するというものでした。残念ながら、このコンテストは2年前に終了し、現在は行われていません。
 参加表明をした後に、共同で活動する相手チームを自分たちで探し、どういう内容にするか相談する期間がありました。全て英語によるやりとりでしたが、担当者同士で事前の話し合いを十分にしながら、計画をステップ毎に作っていきました。相手の国の子どもたちをいつもイメージさせて活動をしていくことがポイントだと思います。相手の国の地図、現地時刻を表示する時計、相手の顔写真、相手の国から送ってもらった新聞、写真等・・。そうしたものを常に教室に置いておきました。
 活動は、既に終わったのですが、相手の担当者から時々メールがやってきます。現在、コンテストではなく、お互いの学校の子どもたち同士でインターネットを通してまた交流をしないかという話が進んでいます。アメリカ、イタリア、日本での「紙芝居プロジェクト」を計画中です。

 さて、今回は、もう一つの海外との交流の実践を紹介します。英語という言葉の壁がない日本語での交流が海外とできないか考えて3年前に実践した例です。

◆日本語での交流はできないか◆
 まず、考えたのは、海外の日本人学校の子どもたちとのメール交換。日本人同士ではあるが、直接日本語でのメール交換を通して、相手の住んでいる国の文化や生活の様子を知ることができたり、日本の様子を紹介してあげたりすることで双方にメリットのある活動になると考えました。

★日本人学校は相手探しが大変
 海外日本人学校に対しての交流希望は多いようで、相手校を見つけるのはなかなか大変でした。日本人学校との交流のMLでお願いしたり、交流を紹介しているページの掲示板を利用したり、日本人学校経験者の先生に紹介してもらうなどして交流してくださる数校の相手を見つけることができました。

★日本語で交流できる外国の小学生がいた!
 オーストラリアから小学生同士で日本語の文通をしてくれる相手を探しているという情報をあるMLで知り、早速相手の先生へ連絡をしました。現地の小学校で「日本語」の学習している子どもたちが、学習の一環として手紙による文通を希望するというものでした。担当の先生は日本人の方でメール交換は日本語でOKでした。子どもたち同士の交流は、インターネットではなく、手紙という実物での交流でしたが、貴重な交流相手が見つかりました。

★日本語で交流できる外国の大学生も!
 町の国際交流員さんから日本語専攻のアメリカの大学生(自分の出身大学の後輩)の話を聞き、日本語での交流ができそうだということで担当の教授にEメールで直接依頼をして承諾を得、数名の大学生の交流相手が見つかりました。日本語でのEメール交換や掲示板での交流ができることになりました。

◆実際の活動◆
(1)日本人学校の小学生とメール交換
「私達は、ドーハ日本人学校小学部5・6年生です。合わせて、5名しかいませんが、みんな仲良く元気に勉強や運動に頑張っています。(^O^)ドーハは17日に10ヶ月ぶりの雨が降りました。今でも日中は、20度位の気温になります。加茂小では、雪が降りましたか?(^_^)ドーハで雪を見るのは、テレビだけです。」
「オランダでは、冬になると、運河がこおります。運河がこおると、みんな外へ出てきて運河の上でスケートをして遊びます。ただし、あんまり人が遊んでいない場合は、危険なので遊ばない方が良いのです。なぜかと言うと氷がわれて落ちる恐れがあるからです。夏は、夜11時頃日が沈むけど冬は1日中暗いよ。」
(2)アメリカの大学生と掲示板で交流
「こんにちは、○○さん。私の名前はモーリです。私が子供の時、アメリカのメジャーリーグの事分かりましたけど、今忘れちゃったけど、新聞を読んで、メジャーリーグの事を教えてあげます。どんな食べ物が好きですか。日本の食べ物が好きです。この冬の休み日本に行って、よくなべを食べました。おいしかったです。どこに住んでいますか。私の大学は・・・」
(3)子どもたちの感想
・オーストラリアの人の手紙から、日本語を一生懸命書いてくれたことが伝わってきて、うれしかった。手紙の中の絵や切り抜きが日本とは違っていてびっくりした。日本語と英語と並べて書いてあったのは勉強になった。
・はじめは相手の国がどこにあるのか、どんな国なのかも分からなかったけど、交流をして、相手の国のことが分かって、相手の国が近くに感じた。
・交流しているうちに日本のことや加茂のことを教えてあげたいことがふえてきて、楽しくなってきた。なかなか返事が来なくて待ち遠しかった。
・自分たちでいろいろ考えながら日本の食べ物や着物などをデジカメでとって、パソコンでまとめるのが楽しかった。パソコンを使ってもっと交流したい。

◆交流は継続的に◆
 子どもたちは、交流する内容を工夫しながら取り組み、日本や加茂のことを紹介するなど、意欲的に活動できました。日本語で交流できる相手(海外で日本語を学んでいる子どもたちや日本人学校の子どもたち)を選んだことで、言葉の抵抗がなく、スムーズに交流できました。また、パソコンやデジカメなどの機器に慣れる機会にもなったと思います。しかし、相手を見つけたり、電子メールや手紙のやりとりをしたりするのに時間がかかり、短期間ではそれほど子どもたちの交流の深まりが見られませんでした。長期間にわたって継続的に取り組めたらよかったと思います。

 オーストラリアの小学生との文通は、毎年子どもたちが変わっても続いており、今年で4年目を迎えました。


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